深夜1時。スマホの画面が、暗い部屋でひとりだけ光っている。さっき上げた動画の再生数は、まだ二桁のまま。「わたし、何をやってるんだろう」——その声が、胸の奥からせり上がってくる。この記事は、そんな夜をくり返しているあなたに向けて書きました。不安を消す魔法はありません。でも、不安と一緒に歩く方法なら、たしかにあります。
先に、いちばん伝えたいことを書きます。夢を追っていて不安なのは、あなたが弱いからではありません。大切に思っているものが、ちゃんとあるからです。どうでもいいことに、人はここまで胸を痛めません。
「安定した道を選べば、こんなに苦しくないのに」。そう思う夜もあると思います。でも、あなたはその安定を選ばずに、いちばん怖い道を歩こうとしている。それは臆病さの反対です。不安は、あなたが本気で何かを賭けているときにだけ、隣にやってくる感情なんです。
不安がまったくないとしたら、それはたぶん、あなたが本当に望んでいるものではない。
だからこの記事では、不安を敵にしません。むしろ「本気のあかし」として、どう付き合っていくかを一緒に考えます。まずは、ひとりの人の夜の話から始めさせてください。
灯里さん(仮名・26歳)は、平日は事務の仕事をしながら、弾き語りの動画をSNSに上げていました。始めて8ヶ月。フォロワーは310人。投稿の再生数は、いいときで400、悪いときは50を切ることもありました。
ある夜、同じ時期に始めた知り合いの動画が、急に伸びていました。フォロワーは1万人を超えていて、コメント欄はにぎやかで、まぶしくて。灯里さんは、そっとアプリを閉じました。
「わたしのやってることに、意味あるのかな。時間もお金も使って、まだ誰にも届いてない気がする」
その夜、灯里さんは自分のスマホのメモに、こう打ち込んだそうです。「怖い」。ただ二文字だけ。何が怖いのか、うまく言葉にできなかった。ただ、心臓のあたりがぎゅっとして、明日が来るのが少しだけ怖かった。
——この気持ち、身に覚えがある人は多いと思います。ここからは、この「怖い」の正体を、少しだけほどいていきます。
「不安」という言葉は、じつはいろんな感情がひとまとめになった袋のようなものです。中身を取り出して並べてみると、少しだけ扱いやすくなります。灯里さんの「怖い」も、あとで振り返ると3つに分けられました。
| 不安の種類 | 心の声 | 正体 |
|---|---|---|
| 比較の不安 | 「あの人はもう1万人なのに」 | 他人の結果と、自分の途中を比べている |
| 未来の不安 | 「このまま何者にもなれなかったら」 | まだ起きていないことを、先に痛がっている |
| お金・時間の不安 | 「使った時間、無駄だったら」 | 成果が見えないと、投資が怖くなる |
おもしろいのは、この3つのどれもが、「今この瞬間」には存在していないことです。比較は他人の話、未来はまだ来ていない、無駄かどうかも決まっていない。不安のほとんどは、今ではなく、頭の中の「もしも」に対して感じています。
他人と比べて苦しくなる仕組みは、他人と比べてしまう問題や比べて苦しいループから抜け出す方法でも、もう少し具体的に書いています。今夜、比較で眠れないなら、こちらものぞいてみてください。
不安を完全に消そうとすると、たいてい失敗します。消そうとするほど、意識がそこに向いて、逆に大きくなるからです。だから目標を変えます。消すのではなく、小さくして、ポケットに入れて一緒に歩く。これでいきます。
プロと呼ばれる人たちも、不安がないわけではありません。ステージ袖でいつも緊張する、リリース前は毎回眠れない、という話は、驚くほどよく聞きます。ちがうのは、不安をゼロにしようとしていないことです。「あるのが普通」と受け入れたうえで、それでも足を前に出している。
本番前の緊張そのものへの向き合い方は、本番であがらない・緊張をほぐす方法にもまとめています。体の反応としての不安は、扱い方を知ると、ずいぶんやわらぎます。
不安な夜は、視界がせまくなります。「どうせ無理」という声が大きくなる。だから、少しだけ視界を広げておきます。あなたが夢を追う今の時代は、じつは、ひと昔前よりずっと追いやすくなっています。
もちろん、簡単になったわけではありません。届け方の工夫は要ります。でも、「才能ある一部の人だけの世界」ではなくなった。あなたが今立っている場所は、思っているより、可能性のある場所です。地方からの活動については地方在住でも音楽で売れるもどうぞ。
頭で分かっても、夜はまたやってきます。そのときのために、具体的にできることを5つ置いておきます。全部やらなくていい。ひとつでも、指先が動けば十分です。
続けること自体がつらくなってきたら、音楽活動が続けられない人へで、意志に頼らない仕組みも紹介しています。心が折れそうな夜には泣きたい夜のための処方箋を、そっと開いてみてください。
灯里さんは、あの「怖い」の夜のあと、やめませんでした。特別なことをしたわけではありません。アプリを閉じて眠り、翌朝また、いつものように弾き語りを録りました。比べる相手を、他人から先月の自分に変えました。
半年後。フォロワーは310人から1,180人になりました。数字だけ見れば、まだ小さいかもしれません。でも、あるライブ配信で、ひとりのリスナーがこう書いてくれたそうです。
「灯里さんの声で、今週なんとか乗り切れました。ありがとう」
その画面を見て、灯里さんは泣きました。あの夜、意味なんてないと思っていた投稿は、ちゃんと、誰かの一週間を支えていた。数字の外側に、届いている人がいた。
もし、あの「怖い」の夜の自分に会えたら、何て言いますか。そう聞いたとき、灯里さんはこう答えました。「大丈夫だよ、って。やめなくてよかったよ、って。あの夜のわたしがいたから、今があるんだって、伝えたい」。初めて1万円を稼いだのも、それからさらに数ヶ月あとのことでした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、これだけは伝えさせてください。夢を追う不安は、消えません。たぶん、これからも夜ごとにやってきます。でも、それをひとりで抱える必要は、まったくないんです。
不安の多くは、「一人だ」という感覚から大きくなります。相談できる相手がいるだけで、同じ夜の重さが、半分になることがあります。伴走者を持つという選択については、音楽活動に伴走者は必要?にも書きました。
あなたが今日、動画を上げたこと。この記事にたどり着いたこと。それは全部、夢をあきらめていない証拠です。その気持ちを、どうか、いちばん近くにいるあなた自身が、大切にしてあげてください。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
スタールートは、これから夢を追う人の隣で、日々LINEで伴走する音楽事務所です。発信の設計、楽曲づくり、SNS運用のこと。何が不安なのか、まだ言葉にならなくても大丈夫。全国どこからでもオンラインで、何度でも無料でお話を聞きます。今夜の「怖い」を、そのまま話しに来てください。