HOMECOLUMN / 機材・DTM

機材・DTM2025.11.10

自宅の防音・吸音を安く整える方法

「歌を録ってみたら、なんだか風呂場みたいに響く」「近所迷惑が気になって、思いきり声を出せない」。宅録を始めると、多くの人がこの2つの壁にぶつかります。でも、いきなり防音工事は要りません。まず正しいのは、安く・賃貸でもできる範囲で、順番に整えること。この記事では、家にある物から始めて、必要なら少しずつ足していく手順を、具体的に案内します。

まず知る:防音と吸音は別物

お金をムダにしないために、最初にこの2つの言葉を分けて覚えてください。混同したまま買い物をすると、目的に合わない物を高く買ってしまいます。

用語目的費用感宅録での優先度
吸音部屋の中の反射(響き)を抑える安い(布でも可)高い・まずこれ
防音音を外に漏らさない/外から入れない高い(工事も)状況しだい

宅録で「歌がお風呂っぽく響く」問題の正体は、防音ではなく吸音の不足です。硬い壁に声が跳ね返って、マイクが直接の声と反射音を一緒に拾ってしまうから響く。だから、まず手をつけるべきは吸音です。そして吸音は、家にある布類でかなりの部分を解決できます。防音(漏らさない側)は必要な人だけあとから考えれば十分です。

POINT「響きが気になる」=吸音の問題(安く直せる)。「音が漏れる/入る」=防音の問題(高くつく)。宅録初心者がまずやるのは吸音。ここを間違えないだけでお金の使い方が変わります。

録音そのものの手順を知りたい人は、先に宅録のやり方を読むと、この環境づくりがどこで効いてくるか分かりやすくなります。

STEP1:家にある物でゼロ円から始める

最初の一歩は、1円もかけずにできます。狙いは「マイクに向かう声の通り道に、硬い面を作らないこと」。手順はこうです。

  1. 録る場所を、なるべく物が多い部屋にする(本棚・服・ソファがある部屋は自然に吸音される)。
  2. マイクのすぐ後ろに、厚手の毛布か布団を垂らす(壁への反射を止める)。
  3. マイクの正面(声が飛んでいく先)にも、可能なら布を用意する。
  4. ガランとした硬い床なら、足元にラグやマットを敷く。

これだけで、多くの人の「響きすぎ」問題は半分以上おさまります。ポイントはマイクの近くを布で囲うこと。部屋全体を処理しなくても、声が最初に当たる面さえ吸えば効果が出ます。

「高い吸音材を買う前に、まず家の毛布でやってみて」。宅録を教えていると、いつもこう伝えます。8割の人は、それだけで録り音が別物になります。

STEP2:クローゼット録音という裏ワザ

ゼロ円で効果が高い定番が、クローゼット(押し入れ)の中で録る方法です。理由はシンプルで、服がびっしりかかったクローゼットは、四方が布でふさがれた「天然の吸音ブース」だからです。

  1. 服がたくさんかかったクローゼットを開ける。
  2. その中、または扉を開けて口元をクローゼットに向けるかたちでマイクを構える。
  3. 背中側と左右が布で囲まれるように立ち位置を調整する。
  4. 試しに一節歌って録り、響きが減っているか確認する。

本格的な吸音ブースを買うと数万円しますが、クローゼットなら0円で近い環境が作れます。狭くて息苦しい場合は、扉を開けて半分だけ使う、毛布を1枚足す、などで調整しましょう。歌ってみたの録音環境の作り方とあわせて読むと、配線や設定まで含めた全体像がつかめます。

ミニ事例:家賃を上げずに録り音を変えた、そうたさん(仮名・弾き語り)

そうたさんはワンルーム賃貸で、最初はマイクを部屋の真ん中に立てて録っていました。声が響いて「宅録っぽさ」が抜けず、ずっと悩んでいたそうです。やったことは、①クローゼットの前で録る、②マイクの後ろに来客用の布団を垂らす、③足元に古いラグを敷く、の3つだけ。かかった費用は0円。「録り直したら、響きが消えて声が近くなった。ミックスも一気に楽になった」と話してくれました。工事も引っ越しも要りませんでした。

STEP3:吸音材を「一等地」に足す

布だけで足りないと感じたら、市販の吸音材(ウレタンやグラスウールのパネル)を足します。ここでの鉄則は、壁一面に貼らないこと。効くのは「一等地」だけです。

  • 最優先:マイク正面の壁/声がまっすぐ当たる面。ここを吸うと反射が一番減る。
  • 次点:マイクのすぐ後ろ/背後からの跳ね返りを止める。
  • 余裕があれば:左右の壁/左右の反射をおさえて、より締まった音に。
  • 後回しでよい:天井・床全面/効果はあるが優先度は低い。予算があれば。

全部を一度にそろえる必要はありません。マイク周りの一等地から数枚ずつ貼り足すのが、お金のムダを出さないコツです。なお、卵パックを貼っても吸音はほぼ効きません(薄すぎて音を吸えない)。同じお金なら厚手の毛布や正規の吸音材のほうが確実です。

STEP4:漏らさない側の防音(賃貸対応)

「響き」ではなく「音漏れ」が気になる段階に来たら、ここで初めて防音を考えます。ただし賃貸なら、壁に手を加えない方法が中心です。

  • 厚手の遮光カーテンを引く/窓は音が抜けやすい弱点。厚いカーテンで多少やわらぐ。
  • ドアの隙間をふさぐ/隙間テープやドア下のすき間ブロッカーで、漏れる量を減らす。
  • 録る時間を選ぶ/深夜・早朝を避け、生活音が多い日中に録る。これが最も効く「無料の防音」。
  • 声量を落として録る/マイクに近づいて小さめに歌い、あとで音量を上げる。

本気で完全防音したい場合は工事や防音室が必要で、費用も大きく跳ね上がります。多くの人にとっては、上の賃貸対応でじゅうぶん実用になります。まずは無理のない範囲で。ノイズそのものの消し方は録音のノイズ対策にまとめました。

予算別・そろえ方の目安

「いくらで、どこまでできるか」を段階で示します。上から順に、必要になったら次へ進むのがおすすめです。

予算やること期待できる変化
0円クローゼット録音+家の毛布・布団響きが大きく減る(多くはこれで十分)
〜3,000円厚手カーテン・隙間テープを追加音漏れ・窓からの反射が減る
〜1万円吸音材をマイク周りに数枚プロっぽく締まった録り音に
1万円〜簡易ボーカルブース・スタンド式吸音安定して同じ音で録れる

機材全体をどの順で買うか迷ったら、予算別・宅録機材そろえ方もあわせてどうぞ。防音・吸音はあくまで「録る環境」の話で、マイクやオーディオインターフェースとのバランスで考えると失敗しません。

やりがちな失敗チェックリスト

  • いきなり防音工事を検討する/まず吸音で足りることが多い。工事は最後の選択肢。
  • 吸音材を壁全面に貼る/お金がかかるわりに効率が悪い。一等地から。
  • 卵パックに期待する/防音効果はほぼゼロ。毛布のほうが確実。
  • 部屋の真ん中で録る/四方から反射が返る最悪の位置。壁際や布の中へ。
  • 吸音しすぎて音がこもる/やりすぎると声が死ぬ。録って確認しながら足す。

大切なのは、やるたびに録って耳で確かめること。数値やマニュアルより、自分の声を録って聴き比べるのが一番の近道です。

よくある質問

Q. 防音と吸音は何が違いますか?

A. 防音は音を部屋の外に漏らさない・外の音を入れないための対策で、吸音は部屋の中で音が反射して響くのを抑える対策です。宅録で歌や声を録るときにまず必要なのは吸音です。防音は工事が絡み高額になりがちですが、吸音は毛布やカーテンで安く実現できます。

Q. 賃貸でもできる宅録の防音対策はありますか?

A. あります。壁や床に手を加えない方法で十分効果が出ます。厚手のカーテンを引く、クローゼットの中で録る、マイクの周りを毛布で囲う、といった原状回復できる対策が中心です。深夜の大音量は避け、録音は生活音の少ない時間帯を選ぶのも実質的な防音になります。

Q. お金をかけずに響きを抑えるにはどうすればいいですか?

A. 服がかかったクローゼットの中や、布団・毛布で囲った空間で録るのが最も安上がりです。硬い壁が布でふさがれると反射が減り、声がすっきり録れます。まずは家にある布類でマイクの後ろと横を囲い、それでも足りなければ吸音材を数枚足すのが失敗しない順番です。

Q. 吸音材は壁一面に貼らないと効果がないですか?

A. 一面すべてに貼る必要はありません。マイクに向かって声が当たる正面の壁と、マイクのすぐ後ろを重点的に処理するだけで、録り音は大きく変わります。予算が限られるなら、まずはマイク周りの一等地から少しずつ貼るのが効率的です。

Q. 卵パックを壁に貼れば防音になりますか?

A. 卵パックに防音効果はほぼありません。凸凹の形が吸音材に似ているだけで、素材が薄く音を吸う力が弱いためです。安く済ませたいなら、卵パックより厚手の毛布やカーテンのほうが確実に効果があります。見た目の雰囲気づくり以上は期待しないほうがよいです。

STAR ROUTE MUSIC AGENCY

「この録り音でいいのかな」を、一緒に確かめませんか。

スタールートは、宅録環境の整え方から歌の録り方、そして録った曲を「どう届けるか」まで、全国どこからでもオンラインで伴走する音楽事務所です。お金をかけずに音を良くする工夫も、楽曲制作のサポートも用意しています。設備の相談だけでも歓迎。今のあなたの部屋でできることを、一緒に考えましょう。相談は何度でも無料です。

※ 本記事は情報提供を目的としたものです。最新の内容・料金・キャンペーン等は無料相談時にご案内します。スタールートは全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。

← コラム一覧へ

公式LINE無料相談