せっかく録った歌に「サーッ」「ブーン」という雑音が乗っていて、がっかりした経験はありませんか。ノイズは、闇雲にエフェクトで消そうとしても直りません。大事なのは、まず原因を音の種類で切り分けること。この記事では、宅録でよく出る4タイプのノイズを、それぞれ原因別に消す手順で解説します。順番どおりにたどれば、あなたの録音は見違えるほどクリアになります。
ノイズ対策の第一歩は、消すことではなく正体を特定することです。歌う前に、いつもの録音環境で「何もしゃべらず10秒」だけ録ってみてください。この無音トラックに何が入っているかで、原因がほぼ分かります。
| 聞こえる音 | 正体 | 主な原因 |
|---|---|---|
| サーッ(高い砂嵐) | ホワイトノイズ | ゲイン過大・機材の自己ノイズ |
| ブーン(低いうなり) | ハムノイズ | 電源・アース・ケーブル |
| エアコン・車・話し声 | 環境音 | 部屋・時間帯 |
| 声が遠く反響する | 残響(反射) | 部屋の硬い面 |
この切り分けを飛ばして、いきなりノイズ除去プラグインをかける人がとても多いです。でも原因が違えば直し方も違います。まずは正体を掴む。ここが全ての起点です。
いちばん多い相談がこれです。原因の多くは入力ゲインの上げすぎ。声が小さいからとゲインを最大近くまで上げると、機材が持つ微小な雑音まで一緒に増幅されます。
それでもサーッが残るなら、マイクやインターフェース自体の自己ノイズが疑わしいです。極端に安い製品ほど出やすいので、買い替えを検討する段階かもしれません。選び方は宅録マイクの選び方やオーディオインターフェースの選び方を参考にしてください。
合言葉:「ゲインを上げる」より「マイクに近づく」。近接で録れば、ホワイトノイズの半分は消えます。
低い「ブーン」は、電源まわりが原因のことがほとんどです。順に試すと、たいてい消えます。
ハムは「録ってから消す」のが特に難しいノイズです。声と同じ帯域に重なることがあり、無理に削ると声までこもります。だからこそ、録る前に断つのが正解。1つずつ潰していけば、原因の切り分けもできます。
エアコン、冷蔵庫、外の車、家族の話し声。これらは機材の問題ではなく、録る場所と時間の問題です。対策はシンプルですが効果は大きい。
録音環境そのものの整え方は歌ってみたの録音環境の作り方にまとめています。生活音は「気合い」では消えません。仕組みで避けるのが唯一の正解です。
「声が遠く聞こえる」「浴室で歌ったみたい」——これはノイズではなく反響(残響)です。硬い壁・床・窓に声が跳ね返って戻ってくるのが原因なので、除去プラグインでは直りません。柔らかい物で反射を吸うのが対策です。
反響を減らす安上がりな方法は自宅の防音・吸音を安く整える方法で詳しく解説しています。ちなみに反響と、後から足す「リバーブ(残響エフェクト)」は別物です。録り音は乾いた状態が理想で、響きは後から足すのが基本。この関係はミックス・マスタリングとは?もあわせて読むと腑に落ちます。
ミニ事例:ゆうとさん(仮名・宅録初心者)。フローリングの六畳間で録っていて「浴室みたいな声」に悩んでいました。原因を反響と特定し、クローゼットに入って服に囲まれて録っただけで、声がぐっと近く・くっきりに。マイクを買い替える前に、環境を1つ変えるだけで解決した例です。
細かいけれど耳につく3種類です。それぞれ原因と対処が違います。
| ノイズ | 正体 | 対処 |
|---|---|---|
| ペチャ・チッ | リップノイズ | 録音前に水を飲む・近づきすぎない |
| ボフッ(破裂音) | 吹かれ(ポップ) | ポップガード・マイクを斜めに構える |
| バリッと割れる | クリップ(音割れ) | ゲインを下げて録り直す |
特にクリップ(音割れ)は後から直せません。メーターが赤く振り切れたら、それは記録の段階で潰れているということ。もったいなくても録り直すのが正解です。丁寧な歌入れのコツは録音で歌が上手く聞こえる歌入れのコツにまとめました。
クリップだけは「消す」ではなく「録り直す」。割れた音は元に戻らない、と覚えておいてください。
原因を断ってもわずかに残るノイズは、編集で仕上げます。ただしかけすぎは禁物。ノイズを消すほど、声も削れて不自然に痩せていきます。
ここまでの工程は録音全体の一部です。宅録の流れを最初から知りたい人は宅録のやり方を、DTM環境そのものを整えたい人はDTMの始め方をどうぞ。
録音ボタンを押す前に、この6つを確認するだけでノイズの大半は防げます。印刷して壁に貼っても構いません。
A. 軽いノイズならノイズリダクション機能である程度は消せますが、深く消すほど声も痩せて不自然になります。編集で消すのは最後の手段で、まずは録る前に原因を断つのが基本です。無音部分をサンプルとして学習させるタイプの処理は効果的ですが、かけすぎは禁物です。
A. 多くはマイクの入力ゲインを上げすぎているか、安価なマイク・インターフェースの自己ノイズです。まず声との距離を近づけてゲインを下げると改善することが多いです。エアコンやパソコンのファンの音がサーッと乗っている場合もあるので、録音前に無音を10秒録って原因を切り分けます。
A. ブーンという電源由来のハムは、電源やアース、ケーブルの取り回しが原因のことが多いです。マイクケーブルを電源タップやACアダプターから離す、パソコンを電源につないだまま録らずバッテリー駆動にする、別のコンセントに挿し替える、などで改善します。USBの給電が弱い場合も出やすいです。
A. それはノイズではなく反響(残響)で、吸音で対処します。マイクの周りを毛布やタオルで囲う、クローゼットの中で服に囲まれて録る、リフレクションフィルターを使う、といった方法が有効です。硬い壁・床・窓が多い部屋ほど響くので、柔らかい物を増やすのが基本です。
A. 録音前に常温の水を少し飲んで口を潤し、マイクに近づきすぎないことでかなり減ります。それでも残る細かなリップノイズは、編集で該当箇所だけボリュームを下げるか、専用の除去処理で個別に処理します。乾燥する季節は特に出やすいので、こまめな水分補給が効果的です。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
ノイズの原因は、録った音を実際に聴くといちばん早く分かります。スタールートは、録音のつまずきから宅録環境の整え方、その先の楽曲制作まで、全国どこからでもオンラインで伴走する音楽事務所です。「どうしても自分でうまく録れない」なら、楽曲制作をこちらで引き受ける選択肢もあります。相談は何度でも無料。録った音源を持って、気軽に話しに来てください。