上手い人の演奏を見るたびに、心のどこかがしぼんでいく。「あの人にはあって、自分にはない」。そう思ってしまう夜が、あなたにもあるかもしれません。才能という言葉は、ときに、これから伸びるはずだった芽まで、静かに折ってしまいます。この記事では、才能の正体をほどきながら、それでも続けた一人の物語を通して、落ち込んでいるあなたの隣に、そっと座らせてください。
「才能がない」と落ち込むとき、たいてい、比べる相手がいます。同世代でバズっている誰か。同じ曲を、自分よりずっと上手く歌う誰か。その人と自分を並べて、勝手に採点して、勝手に落ち込む。あの流れを、私たちは知っています。
先に、ひとつだけ言わせてください。「才能がない」と本気で悩めるのは、あなたが真剣に上を目指しているからです。どうでもいい人は、才能について悩んだりしません。その悩みは、あなたの本気の証です。だからまず、落ち込んでいる自分を、責めないであげてください。
ここで、ある人の話をさせてください。はるとさん(仮名・22歳)は、ギターの弾き語りをする人でした。大学に通いながら、空いた時間に曲を作り、SNSに投稿していました。
ある日、彼はたまたま、同じ曲をカバーしている別の人の動画を見つけました。同い年くらい。でも、圧倒的に上手い。声の伸び、ギターの正確さ、表現の余裕。すべてが違って見えました。その夜、はるとさんは、自分の投稿を全部、非公開にしました。
「自分の動画が、急に恥ずかしくなって。こんな下手なもの、よく人前に出してたなって。才能のある人を見たら、自分がやってる意味が分からなくなったんです」
三か月、彼は一本も投稿しませんでした。ギターにも、ほとんど触れなかったそうです。才能という言葉が、彼から音楽を奪いかけていました。
ここで、はるとさんの話を一度止めて、才能という言葉そのものを見つめてみます。私たちが「才能がある」と言うとき、実は、その人の見えている結果だけを見ています。見えていない、その裏の時間は、まったく見えていないのです。
はるとさんが「才能がある」と感じたあの人も、おそらく、見えないところで膨大に練習し、たくさん失敗し、何本も伸びない投稿を重ねてきたはずです。私たちが目にするのは、その氷山の一角、うまくいった一本だけ。氷山の下の努力を見ずに、水面上だけを比べて「才能がない」と落ち込むのは、フェアな比較ではありません。
SNSは、この「うまくいった一本だけが見える」仕組みでできています。だから、そこで自分と他人を比べれば、必ず苦しくなる。これは意志の弱さではなく、構造の問題です。比べて苦しいループについては誰かと比べて苦しいループから抜け出す方法で詳しく扱っています。
もうひとつ、見落とされがちな事実があります。それは、「才能がある」と言われる人ほど、実は自分の才能を疑っていることが多い、という点です。上を見れば、いつだって自分より上手い人がいる。プロでさえ、そうです。つまり「才能がない」という感覚は、下手な人だけが抱くものではなく、真剣に上を目指す人みんなが通る、共通の景色なのです。あなたが今その景色を見ているのは、ちゃんと前を向いている証拠でもあります。
「才能」とひとことで片づけられているものを、分解してみると、そのほとんどが、後から身につけられる要素だと分かります。
| 「才能」と呼ばれがちなもの | 実際の中身 | 後から身につく? |
|---|---|---|
| 歌のうまさ | 正しい発声と、積み重ねた練習量 | 身につく |
| 曲のセンス | たくさん聴いて、たくさん作った経験 | 身につく |
| バズる力 | 届け方の技術と、試行回数 | 身につく |
| 続ける力 | 意志ではなく、続く仕組みの有無 | 身につく |
| その人だけの声・感性 | 生きてきた時間から生まれる個性 | もともと、あなたにある |
この表でいちばん大切なのは、最後の一行です。歌のうまさもセンスも後から伸ばせる。そして、あなたにしか出せない声や感性は、才能として最初から、あなたの中にあるのです。足りないのは才能ではなく、それを磨く時間と、届ける技術だけ。歌のうまさそのものが不安なら、練習で変わる部分は歌が上手くなる練習メニューにまとめています。
三か月、投稿を止めていたはるとさん。ギターは部屋の隅で、埃をかぶったままでした。転機は、彼が探して見つけたものではなく、向こうからやってきました。ある夜、しばらく開いていなかったSNSに、一件のメッセージが届いていたのです。半年前、彼の弾き語りに一度だけコメントをくれた、名前も知らないフォロワーからでした。
そこには、こう書かれていました。
「最近、投稿ないですね。あの、帰り道で撮ったやつ、落ち込んだ夜にずっと聴いてました。上手い人はいくらでもいるけど、あの声はあなたのだけだったので。また、聴きたいです」
はるとさんは、その文面を、何度も読み返したそうです。「上手い人はいくらでもいる」——自分が三か月、苦しみ続けた言葉。それを、この人はとっくに分かったうえで、それでも自分の声を選んでくれていた。上手さで比べていたのは、自分だけだったのかもしれない。そう気づいたとき、彼は久しぶりにギターを手に取りました。
そこから、はるとさんは変わりました。上手い人と自分を並べて採点するのをやめ、「自分の声にしかできないこと」を伸ばす方向に切り替えたのです。具体的には、完璧に録り直すのをやめて、感情がこもった一発録りをあえて残すようにした。上手く歌おうとするより、その日の気持ちをそのまま乗せることを優先した。半年後、フォロワーは180人から1,600人に。数は地味でも、彼はもう、才能という言葉に振り回されなくなっていました。
一度離れた音楽に戻るのは、勇気がいります。でも、はるとさんのように、離れたからこそ気づけることもある。休むことも、戻ることも、あなたの自由です。もし戻る一歩に迷ったら、一度離れた音楽に、もう一度戻る勇気もそっと開いてみてください。
ここで一度、立ち止まって考えたいことがあります。「才能がないから」で片づけると、実は、いちばん大事なものを失います。それは伸びしろです。
逆に言えば、「才能がない」を「まだ伸ばしていないだけ」に言い換えるだけで、道はふたたび開きます。言葉の選び方ひとつで、心の向きは変えられます。
気持ちを切り替える、小さな方法を置いておきます。全部やらなくていいので、できそうなものを一つだけ、試してみてください。
自分を信じられない日が続くなら、自分を信じられない日の、音楽との向き合い方もそっと開いてみてください。
最後に、いちばん伝えたいことを書きます。あなたの声、あなたの言葉、あなたの感性は、この世界であなたにしか出せません。それは、どんなに上手い人にも真似できない、まぎれもない「才能」です。
足りないのは才能ではなく、それを磨く時間と、届ける技術だけ。そして、その二つは、今日から少しずつ手に入れられます。一人で抱えると、才能のなさばかりが大きく見えます。でも、横で一緒に「あなたのらしさ」を見つけてくれる人がいれば、景色は変わります。
私たちスタールートは、まさにそこに力を注いでいます。上手さで判定するのではなく、あなたにしかない声を一緒に見つけて、届くかたちにしていく。全国どこからでもオンラインで、相談は何度でも無料です。落ち込んでいる今のままで、話しに来てください。あなたの中の才能を、一緒に見つけましょう。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
スタールートは、上手さではなく、あなたにしかない声や感性を大切にする音楽事務所です。才能がないと落ち込む必要はありません。磨き方と届け方を、一緒に考えていきましょう。楽曲制作も、SNS運用代行も、学びの場もありますが、まずは無料で今の気持ちを話すところから。全国どこからでもオンライン、未経験も大歓迎です。