「音楽が生きがいなんです」。そう言いたいのに、言えない。売れてもいないのに、と笑われそうで。趣味の延長でしょ、と言われそうで。でも、あなたの毎日を支えているのが音楽なら、それは立派に生きがいです。この記事は、その気持ちを否定しないための、少し長い手紙です。
直樹さん(仮名・31歳)は、平日は会社で働きながら、休みの日に曲を作り、SNSに投稿しています。もう7年になります。売れているわけではありません。サブスクの月の再生数は、多い月で3,000回ほど。それでも、直樹さんにとって音楽は、生活の真ん中にありました。
ある日、久しぶりに会った同級生に、こう言われました。
「え、まだ音楽やってるの? すごいけど……そろそろ現実見なきゃじゃない?」
悪気はなかったと思います。でも、その言葉は、直樹さんの胸にずっと刺さったままになりました。帰り道、ずっと考えていました。「7年やって売れてない自分は、ただ夢を見続けているだけの、痛い人間なんだろうか」と。
もしあなたも、似た言葉を投げかけられたことがあるなら。まず、はっきり言わせてください。売れているかどうかで、あなたの音楽の意味は決まりません。
世の中には、「これがなかったら自分は保てない」というものを持てずに生きている人がたくさんいます。休みの日に、心から夢中になれるものがない。何のために働いているのか分からなくなる夜がある。そういう人から見れば、生きがいを持っているあなたは、実はとても豊かなのです。夢中になれるものがあるというだけで、あなたの毎日には、他の人にはない色がついています。
「生きがい」という言葉を、大げさに考える必要はありません。それは、朝起きる理由になるもの。つらい一週間を、金曜の夜のギターで持ちこたえられること。落ち込んだ日に、一曲書いたら少しだけ息ができること。それが音楽なら、あなたは音楽に生かされています。それの、どこが悪いのでしょう。
直樹さんを苦しめていたのは、「売れていない=続ける意味がない」という思い込みでした。でも、この2つは別のものさしです。
| 「売れる」のものさし | 「続ける意味」のものさし |
|---|---|
| 再生数・フォロワー・収入 | 作っているとき、心が満たされるか |
| 他人からの評価 | 自分がその時間を大切に思えるか |
| 市場やタイミングに左右される | あなたの内側だけで完結できる |
| いつか終わりが来る指標 | 一生かけて育てられる指標 |
もちろん、売れることを目指すのは素晴らしいことです。音楽で食べていきたいという願いも、まっすぐで美しい。ただ、売れていない「今」を、無意味な時間だと思う必要はないということです。売れるまでの年月をどう捉えるかは、売れるまで何年かかる?焦りとの向き合い方でも書きました。
本当に音楽が生きがいなのか、確かめる方法があります。次のリストを、静かに読んでみてください。
いくつか当てはまったなら、それは間違いなく、あなたの生きがいです。誰かに証明する必要はありません。あなた自身が知っていれば、それでいい。生きがいは、通帳の残高や名刺の肩書きとは違う場所にあります。目に見えないから、周りには伝わりにくい。でも、伝わらないことと、価値がないことは、まったく別のことです。
それでも「やめたほうがいいのかな」と揺れる日は、「音楽をやめたい」と思ったときに確かめる5つのことを、無理のないときに読んでみてください。やめたいのか、休みたいだけなのか。その2つは似ているようで、まったく違います。
「好きなことを仕事にするなんて甘い」。そう言われることがあります。でも、少し立ち止まって考えてみてください。好きなことを7年続けられる粘り強さは、甘さではなく、むしろ立派な強さです。7年前に「甘い」と言った人のうち、何人が7年間、何かを続けられたでしょう。
今は、好きを続けやすい時代でもあります。昔は、音楽で何かを届けるには、レコード会社に見つけてもらうしかありませんでした。でも今は、スマホ1台で世界に発信できます。tuki.さんやimaseさんのように、ネットから自分の音楽を広げていった人が、もう珍しくありません。副業として続けながら、少しずつ活動を育てる道もあります。詳しくは音楽を副業で続ける方法にまとめました。
好きだから続けられる。続けられるから、いつか届く。甘えではなく、それは戦略にもなります。
「好き」を仕事にすることへの不安と希望は、「好き」を仕事にするのは甘いのか?現実と希望でも正面から向き合っています。
ここで、少しだけ肩の力を抜いてほしいのです。音楽との付き合い方に、正解は一つではありません。
働きながら、心の支えとして一生続ける。それも素敵な道です。いつか音楽だけで生きていくことを本気で目指す。それも素晴らしい。そのあいだで、少しずつ収益を作りながら育てていく。それも現実的です。どれかが偉くて、どれかが劣る、なんてことはありません。
そして、この付き合い方は、途中で変わってもいい。最初は趣味として始めた人が、数年後に「やっぱり本気で目指したい」と舵を切ることもあります。逆に、プロを目指していた人が、「食べていくより、自由に作り続けるほうが自分には合っている」と気づくこともあります。どちらも後退ではなく、自分を知っていく過程です。今のあなたが選ぶ答えは、一生の答えでなくていいのです。
もし「いつかは音楽で食べていきたい」という気持ちがあるなら、その現実的な設計は音楽で食べていくにはで具体的に触れています。今すぐでなくていい。心の隅に置いておくだけでも、続ける力になります。
あの言葉から数ヶ月、直樹さんは一度、投稿の手を止めました。「本当に意味があるのかな」と、自分に問い続けていたのです。
そんなある夜、1通のDMが届きました。ずっと前に投稿した、地味な弾き語りの曲について。差出人はこう書いていました。「あなたのこの曲に、去年、本当に救われました。仕事を辞めて、毎日つらかった時期、ずっとこれを聴いていました。ありがとうございました」。
直樹さんは、しばらく画面から目を離せませんでした。3,000回の再生の中に、こういう一人がいた。数字には出ない、たった一人。でも、その一人のために、7年間やってきたのかもしれない、と思えたのです。同級生の「現実を見なきゃ」という言葉より、この見知らぬ人の「救われました」の一言のほうが、よほど確かな現実に思えました。
直樹さんは、また曲を作り始めました。売れるかどうかは、正直まだわかりません。でも彼は言います。
「売れなくても、誰か一人の夜を支えられるなら、続ける意味は十分にある。それに気づけてから、周りの言葉が、前ほど怖くなくなりました」
周りに理解されないと、生きがいはだんだん、うしろめたいものに変わっていきます。でも本当は、うしろめたく思う必要なんて、少しもありません。
もし、あなたの音楽を「いいね」と言ってくれる人が周りにいなくて、少し孤独なら。同じ気持ちの人がいて、真剣に応援してくれる場所は、ちゃんとあります。周りの反対に揺れる日は周りに反対されても音楽を続けたい人へも、隣に置いておいてください。
あなたが音楽を生きがいにしていることを、笑わない人は、必ずいます。焦らず、あなたのペースで。続けていい理由なら、もう十分にあります。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
スタールートは、「好きな音楽で、食べていく」を現実にしたい人の隣に立つ音楽事務所です。趣味と本気のあいだで揺れている人も、働きながら続けたい人も歓迎します。発信の設計、楽曲制作、活動の学びまで、全国どこからでもオンラインで伴走します。相談は何度でも無料。あなたの音楽への気持ちを、まず言葉にしに来てください。