音楽で少しずつ収入が出てくると、避けて通れないのが「経費」の話です。ギター、マイク、スタジオ代、ライブ会場までの電車賃——これらは経費にできるのか。答えは、多くが「できます」。でも、何でも通るわけではありません。この記事では、音楽活動で経費にできる代表的なものを13項目に分けて具体例で紹介し、判断の基準とレシートの残し方まで整理します。難しい税金の話は最小限に、今日から使える形でお届けします。
細かい項目に入る前に、たった一つの判断基準を覚えてください。それは「その支出は、音楽活動の収入を得るために必要だったか」です。この問いに「はい」と答えられるものが、経費の基本です。
逆に言えば、活動と関係のない買い物や、完全にプライベートな支出は経費になりません。そして、活動と私生活の両方に使うもの(スマホなど)は、活動に使った割合だけを経費にします。これを「家事按分」と呼びます。難しく感じるかもしれませんが、後で具体例とともに説明するので大丈夫です。
収入がいくらから申告が必要になるかは音楽の収入と確定申告、開業届を出すべきかは音楽活動で開業届は出すべき?で解説しています。この記事は「何が経費になるか」に絞ってお話しします。
ギター、キーボード、シールド、弦、ピック——演奏に使う道具は、活動のための支出として経費にできるのが一般的です。ただし、高額な楽器は購入年に全額ではなく、数年に分けて計上する(減価償却)場合があります。
録音のためのマイク、オーディオインターフェース、DAWソフト、モニターヘッドホンなども対象です。宅録環境の作り方は宅録のやり方、機材の選び方はDTMの始め方で解説しています。
「趣味で欲しかった機材」でも、実際に活動の録音や制作に使っていれば経費になり得ます。大事なのは、活動に使っているという実態です。
練習・録音のためのスタジオレンタル代は、活動に直結する支出です。レコーディングスタジオの利用も同様。レコーディングの流れはレコーディングスタジオの使い方で解説しています。
ライブハウスのノルマやチケット代、出演にかかる費用も対象になります。ノルマの仕組みはライブハウスのノルマの仕組みと回収術にまとめました。出演で得る収入と、その出演にかかった費用は、セットで記録しておきましょう。
ライブ会場、スタジオ、打ち合わせへの移動にかかった電車賃・バス代・ガソリン代は経費です。ICカードで領収書が出ない場合は、日付・区間・金額・目的をメモに残しておくと記録になります。
SNS発信や配信に使うスマホ・ネット回線は、私生活とも兼用のことが多いはずです。この場合、活動に使った割合だけを経費にします。
| 費用 | 月額の例 | 活動割合 | 経費にできる目安 |
|---|---|---|---|
| スマホ通信費 | 7,000円 | 約40% | 約2,800円/月 |
| 自宅ネット回線 | 5,000円 | 約30% | 約1,500円/月 |
※割合は「合理的に説明できる基準」で自分で決めます。上表はあくまで考え方を示す一例です。
サブスク配信代行(ディストリビューション)の年額、動画編集アプリの月額、素材サービスの利用料など、活動に使うオンラインサービスの費用は経費にできます。配信の手順はサブスク配信のやり方で解説しています。
編曲、ミックス・マスタリング、MV制作、ジャケットデザインなどを人に依頼した費用も対象です。外注の相場は楽曲制作を依頼するにはにまとめました。誰にいくら払ったかが分かる記録を残しておきましょう。
ライブや撮影のための衣装、アーティスト写真の撮影費は、活動に使うものとして経費にできる場合があります。ただし普段着と区別がつかないものは判断が分かれやすいので、活動専用として使う実態が大切です。アー写の作り方はアー写の撮り方で触れています。
SNS投稿の広告出稿、ライブの告知チラシ、名刺の印刷など、自分を知ってもらうための費用も対象です。宣伝を自分でやりきれないときは、SNS運用の外注という選択肢もあります。
ボイトレのレッスン代、音楽制作の講座、専門書などの学びにかかる費用も、活動に必要な範囲で経費にできます。学べる場所の比較は音楽を学べる場所で解説しています。
ケーブル、電池、記録メディア、文具など、活動で使い切る細かいものも積み重なると大きな額になります。忘れずに記録を。
共作者やスタッフとの打ち合わせでのカフェ代など、活動に関わる範囲は交際費・会議費になり得ます。ただし私的な飲食との線引きは曖昧になりがちなので、目的をメモしておくと安心です。
ミニ事例で、記録の効果を見てみます。副業で音楽活動をするコウさん(仮名・30代)は、最初の年、レシートをほとんど捨てていました。翌年から「活動で使ったものは全部撮って残す」と決め、1年間の経費を集計したところ、機材・スタジオ代・配信料・交通費・通信費の按分などを合わせて、年間で十数万円分の支出が記録として残りました。「今まで何となく使っていたお金が、ちゃんと活動の経費だったと分かった。記録するだけで、お金の流れが見えるようになった」と話します。特別なことは何もしていません。撮って残す、それだけです。
最後に、経費を活かすための実務です。どんなに経費に該当しても、記録がなければ証明できません。以下のチェックリストを習慣にしましょう。
収入がまだ小さいうちから、レシートを残す習慣を。「まだ申告するほどじゃないから」と後回しにすると、いざ必要になったときに慌てます。早く始めるほど、あとが楽です。
収入が増えてきて申告が視野に入ったら、インボイス制度がどう関わるかも押さえておきましょう。インボイス制度は音楽活動にどう影響する?で解説しています。金額が大きくなってきたら、専門家に相談するのがいちばん確実です。
A. 基準は「その支出が音楽活動の収入を得るために必要だったか」です。楽器や録音機材、スタジオ代、ライブ会場までの交通費、配信サービスの利用料などは、活動に直接関わる支出として経費にできるのが一般的です。趣味と活動の両方に使うものは、活動で使った割合の分だけを経費にします。
A. 必要です。何にいくら使ったかを証明できるよう、レシート・領収書・クレジットの明細・配信サービスの請求メールなどを保存しておきます。現金で領収書がもらえない交通費などは、日付・区間・金額・目的をメモに残しておくと記録として役立ちます。
A. スマホやネット回線のように、私生活と音楽活動の両方で使うものは、活動で使った割合だけを経費にします。これを家事按分と呼びます。たとえば通信費のうち、活動に使う割合が半分なら、その半分を経費として計上する、という考え方です。割合は合理的に説明できる基準で決めます。
A. 関係します。経費を正しく記録しておくと、活動でどれだけ支出しているかが把握でき、確定申告が必要になったときにも役立ちます。収入がまだ小さくても、レシートを残す習慣は早く始めるほど後が楽になります。申告が必要になる収入の目安は、確定申告の解説記事も参考にしてください。
A. 金額が大きい機材は、購入した年に全額を経費にするのではなく、数年に分けて計上する場合があります。これを減価償却と呼びます。いくらから対象になるかなどの細かい扱いは、状況によって変わるため、金額が大きい買い物をするときは専門家に確認すると安心です。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
スタールートは、売上や収益がなかなか作れずに悩んでいる人も歓迎する音楽事務所です。経費や収益の整理から、聴かれる曲づくり、SNSでの届け方まで、あなたの状況に合わせて全国どこからでもオンラインで伴走します。「お金まわりが不安で動けない」という段階からで大丈夫。相談は何度でも無料です。まずは今の悩みを、そのまま話しに来てください。