HOMECOLUMN / はじめ方

はじめ方2026.05.22

デモ音源の作り方と送り方|デモテープはもう古い?

「デモテープを作って送る」——この言葉、じつはもう半分くらい過去のものになっています。今もし「良いスタジオで録らないと」「立派な機材がないと送れない」と思って足踏みしているなら、その思い込みが活動を止めています。ぶっちゃけ、今のデモはもっと身軽です。よくある誤解を一つずつ壊しながら、今どきの作り方と送り方を、正直にお伝えします。

「デモテープ」という言葉が古い、という話

まず言葉から。「デモテープ」の“テープ”は、カセットテープの名残です。かつては本当にカセットやMDに録って、封筒に入れて郵送していました。今、その形で送るケースはほとんどありません。

とはいえ、「デモ音源(=完成前の、実力や方向性を伝えるための音源)」という考え方自体は、まったく古くなっていません。オーディション、ライブハウスへの出演申し込み、事務所への応募、楽曲提供——どの場面でも「まず1本、あなたの音を聴かせてください」は変わらず必要です。変わったのはフォーマットと届け方だけ。ここを今のやり方にアップデートすれば、驚くほど手軽になります。

POINT「デモテープ」は言葉として古いが、「デモ音源で実力を伝える」という発想は今も現役。変わったのは“テープ”ではなく“リンク”で送るという届け方の部分。

よくある3つの誤解を壊す

誤解1:スタジオで録らないとダメ

これはもう昔の話です。今は、静かな部屋で録ったスマホの音源で、オーディションやライブ出演を勝ち取る人がいくらでもいます。相手が聴きたいのは音質の完璧さではなく、あなたの声・メロディ・世界観。もちろん聴き取りやすさは必要ですが、それはスタジオでなくても作れます。

誤解2:CDやカセットにして郵送しないと失礼

逆に、今どき物理メディアを送られると、相手は再生環境に困ることすらあります。主流は、音源のリンクを1本、メールやフォームで送る形。募集要項に「◯◯で提出」と指定がなければ、リンク提出で問題ありません。

誤解3:たくさん曲を入れたほうが本気度が伝わる

これは完全に逆効果です。相手は多忙で、最初の30秒〜1曲で印象を決めます。5曲送っても、聴かれるのは最初の1曲だけ、ということも。だから「これがいちばん自分らしい」という1〜2曲に絞るのが正解。量ではなく、代表作の質で勝負します。

「そもそもオリジナルがない」という人も焦らなくて大丈夫。まずはカバーや弾き語りでOKですし、オリジナルを作りたくなったらオリジナル曲の作り方で手順を追えます。

今どきのデモ音源の作り方

身近な道具でできる、現実的な作り方です。順にいきましょう。

  1. 静かな環境を作る/エアコン・冷蔵庫・外の音を止め、カーテンや布のある部屋で録るとノイズと反響が減ります。
  2. マイクとの距離を一定に/スマホでも、口とマイクの距離を保つだけで安定します。近すぎる破裂音(ポップノイズ)は少し斜めから当てて回避。
  3. いちばん強い部分から聴かせる構成に/イントロが長い曲は、冒頭にサビを持ってくる編集もあり。最初の数秒で心をつかみます。
  4. 1〜2曲に厳選する/自分の声・世界観が最も伝わる代表曲を選びます。

もう少し音を整えたい人は、宅録の基本から。手順は宅録のやり方にまとめています。ミックスまで踏み込むならミックス・マスタリングとは?も。ただし、ここに時間をかけすぎて“送らない”のが一番もったいないので、まずは「聴き取れる1本」で十分です。

音源の「送り方」の正解

作った音源を、どう届けるか。ここも今どきのやり方があります。

渡し方向いている場面ポイント
YouTube(限定公開)広く送る・URL共有再生環境を選ばない。限定公開なら未発表でも安心
SoundCloud音楽関係者への提出音源に特化。プロも見慣れている
Googleドライブ等ファイルで渡す指定時共有権限を「リンクを知る人」に設定

そして、意外と差がつくのが添える文章です。リンクだけをぽんと送るのではなく、名前・活動の一言・SNSアカウント・今回の意図(例:出演希望/所属応募)を、短く添えます。長文は不要。相手が読みやすい3〜4行で十分です。プロフィールの整え方はアーティストプロフィールの書き方に例文があります。

2026年、デモより効くのは「発信の実物」

ここが今の時代のいちばん大きな変化です。デモ音源を送る、という「点」の勝負に加えて、ふだんの発信そのものがデモになる時代になりました。

相手(審査員やブッカー、事務所)は、送られてきた音源だけでなく、あなたのSNSを必ず見に行きます。そこでショート動画のカバーが並んでいたり、弾き語りのリールに反応が付いていたりすれば、それは「継続して発信できる人」「すでにファンがいる人」という何よりのデモになります。tuki.さんやimaseさんのようにSNS発でファンを広げた例が定着した今、この“発信の実物”は音源以上に効くことすらあります。

だから、デモを1本作って送って終わり、ではなく、並行してショート動画を出し続けるのが2026年の正攻法です。何を投稿すればいいか迷う人はショート動画の台本の作り方を、発信が続かない人はSNSが続かないアーティストへを参考にしてください。発信の設計ごと任せたいなら、SNS運用代行という手もあります。

よくある質問

Q. 今もデモテープ(カセットやCD)で送る必要はありますか?

A. ほとんどの場合、必要ありません。今はYouTubeやSoundCloud、Googleドライブなどの音源リンクをメールやフォームで送るのが主流です。物理メディアを指定される募集は少なく、リンク1本で完結します。ただし、募集要項に形式の指定があればそれに従ってください。

Q. デモ音源はスマホの録音でも大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。静かな部屋で、口とマイクの距離を一定に保って録れば、スマホでも十分に伝わります。大切なのは高価な機材より、歌や演奏がクリアに聴き取れること。ノイズが多い、音が割れているといった聴き取りにくさだけは避けましょう。

Q. デモは何曲送ればいいですか?

A. 1〜2曲で十分です。数を送るより、自分の声や世界観がいちばん伝わる代表曲を厳選するほうが効果的です。多くの相手は最初の30秒ほどで印象を決めるため、冒頭からいちばん強い部分を聴かせる構成にすると通りやすくなります。

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