HOMECOLUMN / ボイトレ・歌唱

ボイトレ・歌唱2026.01.06

音域を広げる練習|高い声・低い声の作り方

好きな曲のサビが高くて届かない。逆に、低いところで声がスカスカになる。歌える曲が限られてしまうのは、音域の狭さが原因かもしれません。でも安心してください。音域は生まれつきではなく、練習で広げられます。この記事では、今の自分の音域の測り方から、高い声・低い声を無理なく広げる練習メニューまで、喉を痛めない順番で解説します。

まず今の音域を「測る」

広げる前に、スタート地点を知りましょう。無料のピアノアプリを使えば、自宅で簡単に測れます。

  1. ピアノアプリで、真ん中あたりの「ド」から下へ1音ずつ声を出す。ちゃんと鳴る一番低い音をメモ。
  2. 次に真ん中の「ド」から上へ1音ずつ。無理なく出せる一番高い音をメモ。
  3. その2つの幅が、今のあなたの音域です。

ポイントは、裏声を使わずに出せる「地声の範囲」と、裏声も含めた「全体の範囲」を分けて記録すること。1か月後にもう一度測れば、成長が数字で見えます。人と比べる必要はありません。比べるのは過去の自分だけです。

POINT広げる前に、今の下限と上限を記録する。地声の範囲と裏声込みの範囲を分けて測ると、伸びが可視化できる。

音域が狭い本当の原因

「自分は声が低いから高音は無理」。そう思っている人の多くは、実は力みで自分の音域を狭めているだけです。原因を整理します。

症状本当の原因対策の方向
高音で喉が締まる力で押し上げている力を抜き、息で運ぶ
高音で裏返る地声と裏声がつながっていない換声点をなめらかにする
低音がスカスカ息の支えが足りない腹式で息を支える
すぐ喉が疲れるウォームアップ不足・力み準備運動と脱力

どの症状も、根っこは「力み」と「息の支え不足」に集約されます。だからこそ、いきなり高音・低音の特訓に入るより、まず土台を整えるほうが結果的に早いのです。

全員共通の土台づくり

高音派も低音派も、最初にやることは同じ。次の2つです。

  • 息の支えを作る/お腹から安定した息を送れないと、音域の端で声が崩れます。腹式呼吸のやり方で支えを作りましょう。
  • 喉を開いて脱力する/あくびをする瞬間の、喉の奥が広がる感覚を覚えます。この「開いた」状態が、高くも低くも声を出しやすくします。

そして毎回、練習前のウォームアップ。リップロール(唇を震わせる)やハミングで、低い音から高い音へサイレンのように滑らせます。冷えた喉でいきなり限界に挑むのは、けがのもとです。地声と裏声のつなぎに悩む人はミックスボイスの出し方と練習法も並行すると、高音がぐっと楽になります。

高い声を広げる練習

高音は「力で上げる」ものではなく、「軽くして上げる」ものです。イメージを変えるだけで届く音が変わります。

「ネイネイ」で階段を上る

鼻にかかった「ネイ」で、無理のない高さから半音ずつ上っていきます。ネイは声を高い場所に運びやすい音です。苦しくなる手前で止め、翌日また同じ高さから始めます。

裏声から地声へ「降りてくる」

高音をいきなり地声で狙うと締まります。逆に、楽に出る裏声から、少しずつ芯を足しながら降りてくると、高音に地声の響きを乗せやすくなります。

「上へ押し上げる」より「上から迎えにいく」。高音は、力の方向を逆にすると急に届くことがあります。

もう一つ有効なのが、口を軽く縦に開くこと。高音で口が横に引っぱられると声が詰まりやすくなります。あくびのときのように奥を開き、眉を軽く上げるだけでも、音が抜ける通り道が広がります。鏡の前で表情を確認しながら練習すると、力みのクセに気づけます。

低い声を広げる練習

低音は「押し下げる」のではなく、「息で支えて、響きを落とす」のがコツです。低音が苦手な人は、たいてい息の支えが抜けています。

  • ため息の延長で出す/深いため息「はぁー」をそのまま声にする。脱力した低い声のスタート地点です。
  • エッジボイスから入る/「あ”あ”あ”」ときしませる音から、少しずつ声に厚みを足すと、低音に芯が出ます。
  • 胸に手を当てて響きを確認/低音は胸のあたりが振動します。手で振動を感じられれば、正しく響いている証拠です。

低音は無理に地の底まで伸ばそうとせず、今の下限の半音下を丁寧に。息の支えが弱いと、低音は必ずかすれます。もう一つのコツは、口の中を広く保つこと。あくびの直前のように喉の奥を開くと、低音の響きに厚みが出て、スカスカ感が消えます。低音は「音量を出す」より「響きを深く落とす」意識が正解です。

ちなみに、高音派の人も低音の練習を軽くやっておくと得をします。声の重心が下がって全体が安定し、結果として高音も出しやすくなるからです。高い声だけを追いかけて喉が締まりがちな人ほど、いちど低音でリラックスした発声に戻ると、力みが抜けて音域全体が広がります。

半音ずつ広げる「安全な進め方」

音域を広げる鉄則は、一気に広げないこと。半音ずつ、体になじませながら進めます。4週間の目安です。

やることゴール
1週目土台(腹式・脱力・ウォームアップ)力まず端まで出せる
2週目ネイネイ or ため息で半音挑戦半音、楽に出せる
3週目裏声から降りる/エッジで厚み芯のある端の音
4週目広げた音を曲の中で使う歌える曲が増える

「今日は半音、明日はもう半音」ではなく、「半音を1週間かけて自分のものにする」ペースが安全です。歌全体の底上げをしたい人は歌が上手くなる練習メニューも合わせてどうぞ。

やってはいけないNG集

  • 痛みを我慢して出す/痛みは「今日はここまで」の合図。押し切ると喉を傷め、音域はむしろ狭まります。
  • ウォームアップなしで限界に挑む/冷えた喉での高音・低音特訓は、けがの一番の原因です。
  • 一気に広げようとする/半音の積み重ねが最速。焦りは遠回りです。
  • のどが枯れても続ける/枯れたら休む。ケアの知識は声が枯れる・喉を痛めない歌い方にまとめています。
POINT音域は「攻めて広げる」より「守りながら育てる」。痛みが出たら即ストップ。半音の積み重ねが最短ルート。

ミニ事例:1音広げた〇〇さん

フリーターのハルさん(仮名・24歳)は、歌いたいバラードのサビが1音届かず、いつも途中でキーを下げて妥協していました。「自分の声はここまで」と決めつけていたそうです。

始めたのは、1週目に腹式と脱力だけ。2週目からネイネイで半音上を毎日ほんの少しだけ。無理に上げず、苦しくなる手前でやめるのを徹底しました。3週目には「裏声から降りてくる」を覚え、高音に芯が乗るように。4週目、原曲キーのサビを最後まで歌い切れたときは、思わず声が出たそうです。「1音って、こんなに世界が変わるんですね」。今はその曲を録音して録音で歌が上手く聞こえるコツを試しながら、SNSに上げる準備をしています。

よくある質問

Q. 音域は本当に広げられますか?

A. 広げられます。音域は生まれつき決まっているように思われがちですが、実際は声を出す筋肉の使い方や、力の抜き方の慣れで大きく変わります。今まで出せなかった高音が、力みを取るだけで出るようになることも珍しくありません。半音ずつ、無理のない範囲で毎日少しずつ挑戦するのが基本です。

Q. 高い声と低い声、どちらから練習すべきですか?

A. 歌いたい曲に合わせて選んで構いませんが、迷うなら「今つらいほう」から取り組むのがおすすめです。ただし両方に共通する土台は、息の支え(腹式呼吸)と、喉の力を抜くことです。まずこの土台を作ってから、高音・低音それぞれのメニューに進むと、伸びが早くなります。

Q. どのくらいで広がりますか?

A. 個人差はありますが、毎日10分の練習で、2〜4週間ほどで半音〜1音ほど楽に出せる範囲が広がる人が多いです。大切なのは無理に一気に広げないこと。喉を痛めると逆に狭くなります。半音ずつ、録音で前の自分と比べながら進めるのが確実です。

Q. 喉を痛めないためのコツはありますか?

A. 痛みや締めつけを感じたら、その音は今日はやめること。力で押し上げるのではなく、息の量とあくびのように喉を開く感覚で出すのがコツです。ウォームアップなしでいきなり高音・低音に挑むのも避けてください。喉のケアと痛めない歌い方は別記事にもまとめています。

STAR ROUTE MUSIC AGENCY

「この曲、キー下げないと歌えない」を卒業する。

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